ピロリ菌抗体が陽性と言われたら?数値の意味と除菌の考え方

2026年2月26日|院長コラム

健診で「ピロリ菌抗体(ピロリ抗体)」が陽性と書かれていて、不安になった方は多いと思います。 この記事では、ピロリ菌抗体検査の数値の見方と、次に何を確認すればよいかを、できるだけ分かりやすく整理します。

■ ピロリ菌とは

ピロリ菌は胃の粘膜に長く感染する細菌です。感染が続くと慢性胃炎が進行し、胃・十二指腸潰瘍や胃がんのリスクに関係することが分かっています。 感染が確認された場合、除菌治療により将来の胃がんリスクを下げられる可能性があります。

■ ピロリ菌抗体が陽性とは?

抗体陽性は「現在感染している」または「過去に感染していた」可能性を示します。 抗体は除菌後もしばらく残るため、陽性だから必ず現在感染しているとは限りません。

● 抗体の数値の目安

ピロリ菌抗体検査は、血液中の抗体量(U/mL)で判定します。基準値は検査会社の用いている測定キットによって多少異なりますが、一般には数値が高いほど現在感染の可能性が高くなります。

たとえば、当院でも採用している測定法(デンカ生研)での判定目安は次の通りです。
陰性:3未満
陰性高値:3〜10
陽性:10以上

たとえば50〜100など高い場合は現在感染の可能性が高くなります。一方、10〜20など低めの陽性では、過去感染のみで現在はピロリ菌がいない場合もあります。 除菌後の方では陰性高値になることもあります。

■ 陰性なら安心ですか?

胃粘膜の萎縮が進んでいる場合などは、感染があっても抗体が低く、偽陰性になることがあります。 萎縮性胃炎が疑われるのに抗体価が低い場合は、便中抗原検査や尿素呼気試験など、別の方法で現在の感染の有無を確認することがあります。

また、除菌後でも胃がんリスクが完全になくなるわけではありません。とくに萎縮性胃炎が進んでいる方は、医師と相談しながら定期的な胃カメラ検査を検討することが大切です。

■ 除菌は必要?

ピロリ菌感染があるかどうかで、胃がんリスクに明らかな差があることが分かっています。胃がん予防の観点からは、感染が確認されれば除菌を検討する意義があります。

大切なのは、まず「現在ピロリ菌がいるかどうか」を判断することです。胃カメラで胃炎や萎縮の程度を評価し、必要に応じて追加検査を組み合わせて、現在感染が確認できれば除菌治療を検討します。

健診で胃カメラを受けている場合は、その結果も一緒に受診時にお持ちください。
内視鏡検査(胃カメラ)について

■ 胃がんリスク検診(ABC検診)とは

胃がんリスク検診(ABC検診)のA群・B群・C群・D群の分類図
胃がんリスク検診(ABC検診)の分類イメージ

ピロリ菌抗体の陽性・陰性と、胃粘膜の萎縮の程度を推測するペプシノーゲン検査の結果を組み合わせて、胃がんリスクをみる検査です。 血液検査のみで評価できる一方、「真の陰性であるA群」と、「萎縮が進みすぎてピロリ菌がいなくなったD群」を正確に区別しにくいことがあります。

名古屋市のワンコイン検診で行う胃がんリスク検診では、D群の見落としを防ぐために通常より厳しめの基準が使われています。そのため、本来A群でもD群と判定される場合があり、胃カメラで確認が必要になることがあります。 なお、除菌後の方はこの検診の対象外です。
健康診断について


よくある質問(FAQ)

Q1. ピロリ菌抗体が10前後ですが、除菌は必要ですか?

抗体が10前後の場合、現在感染か過去感染かの判断が必要になることがあります。胃カメラで萎縮性胃炎の有無を評価し、必要に応じて便中抗原検査や尿素呼気試験などで現在感染を確認したうえで、除菌を検討します。

Q2. ピロリ菌抗体が高値と言われました。どうすればいいですか?

抗体が高値(例えば40台とか100以上)の場合は、現在感染の可能性が高くなります。ただし、実際の方針は数値だけでは決まりません。胃カメラで胃炎の程度を確認し、必要な検査を追加して判断します。

Q3. ピロリ菌抗体が陰性なら胃がんの心配はありませんか?

陰性でも、萎縮が進んだ胃では偽陰性になることがあります。また、除菌後でも胃がんリスクがゼロになるわけではありません。胃粘膜の状態に応じて、定期的な胃カメラ検査を検討することが大切です。

Q4. 胃カメラをせずに除菌だけするのではだめですか?

もしすでに胃がんや高度の胃炎がある場合、胃カメラをしなければ見逃す可能性があります。また、抗体検査だけでは現在感染の有無を判断しきれないことがあります。 萎縮性胃炎の程度を確認することは、その後の胃カメラ間隔を考えるうえでも大切です。保険診療で除菌を行う場合も、胃カメラで慢性胃炎を確認することが必要です。

■ まとめ

  • 抗体陽性でも、必ず現在感染とは限りません。
  • 数値が高いほど現在感染の可能性は高くなりますが、数値だけで確定はできません。
  • 陰性でも偽陰性のことがあるため、萎縮が疑われる場合は追加評価が必要です。
  • 感染が確認された場合は、除菌により将来の胃がんリスクを下げられる可能性があります。

いとう医院(名古屋市瑞穂区)では、ピロリ菌抗体検査や胃カメラ検査による胃がんリスク評価を行っています。 健康診断でピロリ菌抗体が陽性と言われた方や、胃の不調が続く方はご相談ください。

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