ピロリ菌は家族にうつる?子どもへの感染と検査の考え方

2026年3月11日|院長コラム

健康診断や胃カメラで「ピロリ菌がいるかもしれません」「除菌を考えましょう」と言われたとき、 よく聞かれるのが「家族にうつりますか?」というご質問です。 この記事では、ピロリ菌が感染しやすい時期、家族の検査を考える目安、子どもの検査や除菌の考え方について分かりやすくまとめます。

■ ピロリ菌は家族にうつる?

ピロリ菌は、人から人へ感染しうる細菌です。 ただし、感染の多くは幼少期に起こると考えられており、 大人になってから日常生活の中で新たに感染することは比較的少ないとされています。

そのため、「家族に感染者がいる=すぐ家族全員が危険」というより、 幼少期に感染する機会があったかどうか、 そして現在、検査をした方がよい背景があるかどうかを考えることが大切です。

■ 主な感染は幼少期

ピロリ菌感染は衛生環境が今ほど整っていなかった時代には比較的多く見られ、現在の中高年以上の方で感染率が高くなっています。 日本でも家庭内で幼少期に感染するのが主な感染経路だったと考えられています。

現在は衛生環境の改善により若い世代の感染率は下がってきていますが、 親世代や兄弟姉妹にピロリ菌感染がある場合には、ご自身も過去に感染していた、あるいは今も感染している可能性があると考えてよいでしょう。

■ 大人同士の感染は少ない

夫婦間や大人同士で新たに感染することは比較的少ないとされており、家族に感染者がいると分かっても過度に神経質になる必要はありません。

一方で、胃の症状がある方、家族に胃がんの方がいる方、 以前の生活環境などから感染の可能性が気になる方では「うつっているかどうか」を心配し続けるより、実際に検査を検討する方が現実的です。

保険適応でピロリ菌の検査をする場合には、先に胃カメラ検査をして慢性胃炎などの診断を受ける必要があります。胃カメラをせずにピロリ菌の検査を先にしようとすると、健診や自費検査でおこなうことになります。

名古屋市では、20〜39歳の方を対象としたピロリ菌検査と、40〜59歳の方を対象とした胃がんリスク検査(ピロリ菌検査+ペプシノゲン検査)があります。胃カメラを迷われている方はまず名古屋市の検診を利用してのピロリ菌検査をすることも可能です。 その結果ピロリ菌陽性であればやはり胃カメラを受けた方が良いということになります。
対象年齢や対象外条件がありますので、詳しくは名古屋市の案内をご確認ください。
名古屋市の検診について

■ 家族も検査した方がいい?

家族の検査が必要かどうかは、次のような点に注目して判断しましょう。

  • 家族にピロリ菌感染がある
  • 胃がんの家族歴がある
  • 胃痛、胃もたれ、胸やけ、食欲低下などの症状がある
  • 中高年で、これまで一度もピロリ菌について調べたことがない

ピロリ菌感染は、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんのリスクと関係することが知られています。
「気になるけれど、今すぐ検査すべきか分からない」という場合は、 まずは受診してご相談いただき、先に胃カメラをしたがよいのか、ひとまずピロリ菌検診を先にするのがよいのかを一緒に考えましょう。

■ 子どもは検査するべき?

お子さんのピロリ菌検査は、原則として症状がある場合に検討します。 無症状であれば、必ずしも急いで調べる必要はありません。

お子さんで陽性と分かっても、すぐに除菌治療を行うかどうかは年齢や体格、症状などを踏まえて判断します。 一般に保険診療での除菌治療には胃カメラ検査が必要であり、また大人と同じ量の除菌薬が使用できる年齢になってから行うため、状況によっては成長を待ってから検討することになります。

地域によっては、自治体の取り組みとして中学生などを対象にした ピロリ菌検査が行われていることもあります。 そうした機会がある場合は、その地域の案内に沿って検討するとよいでしょう。

■ 胃カメラ検査の必要性

「家族に感染者がいるから、まず血液検査だけ受けたい」と考える方もいますが、 実際には胃カメラできちんと診断をしておくことも大切です。

たとえば中高年で胃の症状がある方では、ピロリ菌の有無だけでなく、 胃カメラによって胃炎の程度や胃潰瘍、胃がんの有無、食道疾患などの他の疾患の有無も確認することが可能です。 そのため、胃カメラ検査についても状況に応じて検討するのが望ましいといえます。

内視鏡検査(胃カメラ)について

■ よくある質問(FAQ)

Q1. ピロリ菌は家族にうつりますか?

ピロリ菌は人から人へ感染しうる細菌です。ただし感染の多くは幼少期に起こると考えられており、 大人同士で新たに感染することは比較的少ないとされています。

Q2. 家族も検査した方がよいのはどんなときですか?

家族に感染者がいる、胃がんの家族歴がある、胃痛や胃もたれなど症状がある場合は、検査を検討してよいでしょう。年代や同居状況も参考になります。

Q3. 子どもは検査するべきですか?

子どもの検査は原則として症状がある場合に検討します。 無症状であれば必ずしも急いで検査する必要はありません。 地域によっては学童検診などでピロリ菌検査が行われていることもあります。

Q4. 食器の共有で大人同士でも感染しますか?

現在の日常生活様式において、大人同士の新規感染は比較的少ないとされています。 過度に不安になるより、必要に応じて検査や治療の相談をすることが大切です。

■ まとめ

  • ピロリ菌は人から人へ感染しうるが、感染の多くは幼少期に起こる
  • 大人同士の新規感染は比較的少ない
  • 家族の検査は家族内感染、胃がん家族歴、症状の有無などを参考に考える
  • 子どもの検査は原則として症状がある場合に検討する

いとう医院(名古屋市瑞穂区)では、ピロリ菌感染の検査や胃カメラ検査のご相談を行っています。 ご本人の結果だけでなく、ご家族の検査を考えるべきか迷う場合も、お気軽にご相談ください。

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